バイトなんて辞めてやるぅ
2002/05/01:久世紀弘
電話が掛かってきました。
バイト先の店長からです。
「あ、紀弘君? 久しぶり。」
「お久しぶりです、店長。」
「もうすぐ母の日なんだけど、ギフト。後はあなただけだから。規則だからね。」
「えぇ。」
「それじゃお願いね。」
電話は直ぐ切れました。
その後、今あった嵐のような出来事を思い出します。
実を言いますと、僕は先月働いていないんです。
それも全く。
試験勉強の為に、一ヶ月の休暇を貰いました。
勿論、迷惑を掛けることになるので他の人に頼み間を埋めました。
このコンビニでは毎回、規則、規則と「お歳暮」「正月」「クリスマス」…Etc
色々と文句を付けてはバイト生に何かを買わせていました。
僕もブツクサと言いながらそれに従ってました。
確かに各店にはノルマがあり、それの達成を助けるのもバイト生の役目だと感じたからです。
因みに、僕が働くのは日曜日のみで三時間だけです。
せいぜいが小遣いの足し程度。
その中から二千円・三千円の物を買っていたんです。
しかし… 今回、店長は”僕が給料を貰ってないことを知っていながら”電話をしてきた事になります。
そして毎回負に落ちないのが。
「こういう事は自主性であって強制出来る事では無いし、それを守れない者を辞めさせるとかそういう云々では無いんじゃないか?」
これです。
規則って何でしょう。
全員がそうしてるからと、何の意味があるのでしょうか。
少し考えてから、店に電話しました。
やはりおかしいです。
「あ、店長? さっきの止めさせて下さい。」
「止めるってどういう事?」
「つまり、買うのを止めたいのです。」
「それはつまり、店を辞めるって事?」
店長はここで頭に来たのでしょうか、随分と変な方向へ話が進んでます。
「えぇ、まぁそうなりますか。」
「僕は今月、いや先月ですか。全く働いていません。それなのに買えとはどういう事ですか?」
少し僕も感情的です。
「先月、あなたが働いていないのは知ってるわよ。でも、それは規則だし、みんなだってやってる事なのよ。」
このオバサンに「規則」という言葉が解ってるか疑問です。
規則で人を縛るだけしか能のないオバサン。
融通を利かすとか、周囲を見るとか…
何言っても無駄なんでしょうね。
理屈的にも間違ってる気がしてなりませんし。
「それじゃ今週は出れるのね? 今辞めて貰っちゃ此方としても困るからお願いね。」
「これからの事は後で話し合いましょう。」
随分とまぁ…
「解りました。それじゃ…」
ガチャ
先に切られた様です。
結構頭に来ましたが、胸はドロドロ、頭は冷静といった感じです。
冷めてます。
案外これで良かったのでしょう。
他のコンビニに比べれば100円近く安い… それでいて内容もきつい。
一年以上経ってしまいましたが、ここらが引き際かもしれません。
こういう時、自分の阿呆さを痛感します。
今週のバイト、僕は出るでしょう。
最後まで後始末をしなければ気が済まない性分なんです。
今時の若者であればサボるのでしょうけれど。
店長には会いたくないですが、その夫であるオーナーには挨拶をしたいと思います。
理不尽な事が嫌いな性格が店長とは合わなかった… こう言う事にします。