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2001年度「冬」我らが聖地

2001/12/29:久世紀弘







ピンポーン

ベルを鳴らし、Daizoの友人宅へお邪魔する。

彼とは数回ICQにて会話していた。

Daizoの友達であり、俺とはゲーム話や音楽の話をするオタクの間柄であった。

出てきたのは全身黒ずくめのイケメン男。

それがRegretである。

聞いていた情報では、北斗の拳に登場するグリーンベレー部隊の隊長…

だったのだが?

中腰中背で、確かに筋肉ダルマといった感じではあった。

初対面の挨拶を終え、部屋に通される。

「紀弘さん、好きなモノ持っていって下さいよ」

そう言う彼が指さす先は、同人ゲームの山。

改めて部屋を見回してみると、Kanonの特大ポスターや解らないCG画が張られている。

『いぇ、そんな… 貰う訳には…』

謙遜、と言うレベルでは無い。

コレクションを荒らすようで申し訳なかったし、何より人からそんな風に言われたことが無かった。

「ダブってる奴がありますんで、…これなんて三個もあるんですよ。持ってちゃって下さいな」

『そ、そんなにあるんですか? 解りました、では貰っていきますね』

バッグに詰めて、やはり辺りを見回す。

どうも落ち着かない。

「このパイソンなんて本体が2万、フレームが3万でこの先っちょが…」

彼の銃好きはICQでの会話で知っていたが現物を見せられると生々しい。

どれだけ入れ込んでいるかが良く解る。

拝借して持ってみると案の定凄い重さだ。

2kgという話だった。

パイソンだけでなく、グロッグやその他のライフルも部屋に散らばっている。

俺を連れてきたDaizoはBMを暫くやった後、家に帰った。

Regretの家に来て二時間くらい経ったであろうか、誰か部屋に入ってきた。

話に聞いていたもう一人、Passoruである。

今回の冬コミは総勢四人ということだった。

見た目ひょろひょろなPassoruとは気楽に話も進んだ。

一回も面識の無い人間通しとは思えなかった。

多分これはこれから行く冬コミという同じ目的がある、同じ人種だからだろう。

「そろそろコンビニ行きましょうか」

夜食の調達である。

「あぁ、それとコレを掛けていって下さい」

そう彼が渡してきたのは黄色のサングラス。

『…こんなん付けて行くんです?』

「そうですよ。では行きましょうか」

俺とPassoru、そしてRegretがサングラスを掛けてコンビニに入る。

特にRegretに関しては全身黒尽くめな上にコートである。

犯罪者と間違えられるかもしれない。

実際コンビニでは取り立てて問題無かったようだ。

序でなので栄養ドリンクと適当なジュースを買う。

部屋に戻ってからも、FLASHアニメ、エロ絵観覧、といった感じだった。

「そろそろ寝ますか。それじゃ廊下で寝る人を決めて下さい」

Passoruとジャンケン対決。

五回のジャンケンだった一回も負けず、連勝した。

『明日は何時頃です?』

「四時半には集合して貰うつもりです。Daizoも後で来ますよ。それとYuukiがもしかしたら来るかもしれません。来るな、とは言ってありますけどね」

結局俺は寝付けなかった。

馬鹿なことにコンビニで買った栄養剤を直ぐ飲んでしまったのだ。

自業自得だろう。

四時になるとRegretの携帯が鳴った。

「………」

ピッ

暫くするとまた鳴る。

「うっせぇな〜。あ? 来るのか? あぁ、解った」

ピッ

四時半に二人入ってきた。

五分後、もうDaizoともう一人が入ってきた。

これで合計で七人だ。

廊下で寝ているPassoruも起き、用意は出来た。

「これを付けて下さい」

と、渡してきたのはやはりサングラス。

そして電車の回数券。

『こんなん貰っちゃホント悪いですよ!』

「いぇ、どうぞどうぞ」

そう言うと彼はそのまま配りだした。

しかし、後から来た人数で合わなくなったのか足りなかったようだ。

部屋を出てまたコンビニに向かう。

今度は朝食を買いに、だ。

そのまま駅に向かい電車に乗る。

初めはそうでもなかったが、時間が経つにつれ同種の人間が増えてくる。

即ち、オタクだ。

乗り換えると更に増えた。

満員電車である。

ここでトラブルが発生した。

Passoruが消えたのだ。

この人数の中消えるということは、危険だった。

会場の外で待機するがやはり彼はいない。

『Passoruさん、どうします?』

「いいよ。ほっとけば来るでしょ」

寒い中待ち続けること二時間、Passoruはふと現れた。

待ち合わせ場所を決め、回るルートを確認する。

会場が開いたのは十時。

統率の乱れた軍隊のように徐々に徐々に進む速度が上がっていく。

階段を上りきったとき、Daizoに人混みの写真を撮って貰う。

さぞかし同志達が写ってる事だろう。

会場は西1、2と東1、2、3、4、5、6とあり、俺等が着いた頃には人混みで埋まっていた。

『Daizo、行くぞ〜』

「へいへい」

Regretは余裕なのかある程度余裕を持って歩いている。

が、とても俺はそんな気分にもなれずスキップに近い早歩きをする。

そして目にしたモノ。

列。

行列だった。

しかも会場の西1に入ろうとした瞬間である。

会場には入れてもブロックに移れない。

仕方なくその最後尾に列ぼうとして唖然とした。

200mはああった… しかも五列。

『これ無理じゃね?』

「ん〜参ったな。でも列ぶしかねぇか」

その時、Passoruが一言。

「あ〜、これ渡辺製作所の列みたいよ?」

『マジ!?』

直ぐさま列を抜け、西1へ。

場所を確認すると俺が狙っていたサークルの目の前だった。

2分程待ってそれを買う(何かは内緒)

次にDaizoが欲しいと言っていた音楽サークルを回ることにした。

壁際にあったので直ぐ見つかった。

それらを買うとDaizoの用はそれで終わったみたいだった。

東に向かった。

次々に見ていくうちに見覚えのある音楽サークルを見つけた。

確かネットでMIDIを制作していた所だ。

値段を見ると「300円」となっていた。

どれくらいの技術なのか? と思い買ってみる。

急いでたので直ぐ去ろうとすると…

「あ、これ無料なんです。持っていって下さい」

『え?』

貰ってしまった。

『…ど、どうも!』

やはり急いでいるので去ろうとする。

「あ、これもなんです!」

『え? いや、そんな…』

「どうぞ、どうぞ」

『…はい、それじゃ…どうも!』

また貰ってしまった。

無料配布の一つはケース入り。

最後に貰った一つに至っては布カバーに覆われているだけといった状態だった。

いい人が多いようだ。

それからは目的の小説を手に入れ、次にエロ漫画を買う。

そんな感じで目的が終わってしまった。

時刻は十二時。

始めてのコミケとしてはなかなかの出だしではないだろうか。

昼飯を食いに近場のマックへ。

二人が先に待っていた。

少し会話をし、また会場へ。

全体として見た感じ、Leaf系が少なかった。

どちらかと言えば創作系が多かったようだ。

多少ゆとりも出来てきて、そこら辺に注意が向く。

途中目を引いたのが、看板を出している場所。

腕の幅はあろうかという程の看板だ。

絵はそこそこだった。

だが、その看板を持ち上げているお陰で遠くからでも目立った。

案の定客が数人群がっている。

次に気が付いたのが、エロ関係のサークルには客が常にいる…って事か。

一般モノはやはり人気が無いようだ。

節目である二時になり、また集合する。

が、肝心のRegrettは来ない。

彼は会場に入る前に宣言していた。

「三時まで現れないから」

仕方なしに談話し、俺はまた回ることにした。

シナリオの見本になるようなのを収集したかったのだ。

サークルを男がやってる場合、多いのはエロCG、エロ漫画、ゲームだった。

逆に女は漫画、小説といった感である。

出来れば男で一人称を見つけたかったが、ここまで一度も見かけてなかったので諦める。

そして、女が受け持つサークルを回ることにした。

そこで目に付いたこと。

繊細。

売れる、売れないというよりは自己満足の世界なのだろうか。

客もそう多くは無いが、大手サークルのような場所にはやはり人だかりが出来ていた。

小説系を見回していると幾つか気になるサークルを見つけた。

表紙に絵が無い。

デザインだけで訴えかける表紙。

余りにも衝撃的で思わず手に取ってみた。

『……』

「すげぇ!」

一人称であるようで、そうではない書き方だった。

何にも言えない位に上手かった。

『すげぇ!』

結局二人して「すげぇ!」を連発していた訳だが…。

1000円もしたが俺は買った。

資料というよりは目標にしたかったのだ。

そしてサークルの主人を見てみると、案の定中年のおばさんだった。

主婦は強いらしい。

恐ろしいまでのボキャブラリー。

主婦も俺等のような連中が買うとは思ってなかったのだろう、多少面食らった顔をしていた。

…引きつっていたのかもしれない。

その後も幾つか見てみる。

そして先ほどまでとはいかないまでもな作品を見つけ、それを買う。

俺のコミケでの消費者活動はここまでだ。

Regretを待つ間さっき買った小説を開いてみる。

『…木村』

「中居?」

パラパラパラ…

”木村、俺はお前のことが…”

パタン

『やっちまったようだ』

「どうやらそのようで」

買った二つの小説は801系だった。

しかもネタは憎きSMAPだ。

…サンプルとして持ち帰ることにした。

他にも買った小説はあった。

エロ小説にプロが書いた小説。

だが、やはり801を書いた彼女らのPOWERには敵わないようだ。

方向性さえ間違ってなければ余程良い作品が出来るのだろう。

暫くするとRegretがやってきて、俺等はそのまま帰ることになった。

帰宅への途中でロッテリアに行く。

『今、安い奴ってどれです?』

「テリヤキチキンバーガーになります」

廃れ気分で声も疲れ切っている。

『あぁ、じゃそれ』

「お持ち帰りですか?」

『ここで…』

帰りのバスを待つ間ハンバーガーを頬張る。

家に着き、そのまま寝ようかと思ったが親父に挨拶を…。

「お帰り。ほら、見てみ」

『ん?』

親父が自作したようだった。

P4のメモリ512…後は中古の適当なの…だそうだ。

それからはまた問題が続いた。

親父のPCから音が出ないのだ。

あれこれやったがどうもオンボードの調子が悪いようだ。

俺の提案でサウンドボードを買いに行くことになった。

今日、ね。

疲れた身体でそのままドライブ直行。

店では欲しかった品が無く、適当に見繕った「AW744PROU」を買う。

俺のが「AW744PRO」な事を考えれば妥当だとは思われた。

親の許しで俺がそれを付ける事になった。

上位互換だと甘く見たのが災いし、俺のPCからも音が出なくなる。

一時間近く奮闘し、元のボードを取り付け事を防いだ。

問題は親のPCである。

これに新しいボードを取り付けた所、音が割れたのだ。

ドライバのせいなのは分かり切っているのでドライバを早速入れてみた。

ところがWindowsXPの制約が掛かり、完全には入らない。

挙げ句はPCが逝かれてしまった。

『さて、どうしたものかね』

「……」

親父は放心状態。

今度は初期化しようと試みる。

が、DOSが入っておらず、これまた拒否られる。

次に俺のPCにHDDだけ接続し、そこから初期化をしようとした。

所が、XPであるHDDはMEでは反応すらしなかった。

これではお手上げである。

ここで俺は力つき、後は親に任せることにした。

後日談だが、一台目をXPにし、そこから二代目を初期化したようだ。

その日はサークルで買った音楽CD、CGを見ないでそのまま寝た。

そりゃぁ、もう良く寝れたさ。

次の日の夜は買った同人CDのお陰で眠れなかったが……







先ほどHDD整理をしていたら随分と昔のファイルを見つけました。

Daizoと話した結果、HTML化するコトになりまして―――

それが↑のヘタレ文章となっています。

一応、HTML化するにあたっては殆ど手を付けていません。

「あぁ、読みにくいなぁ!」ってのが残るようにしました(ぉ

変更点としては全角の英単語や数字を全て半角にしたコトと、

危険過ぎる文章をちょちょいと細工した程度です。

…ホント、全文書き換えたいくらいでしたけど。

―――現在 2003/01/11 です。

他の作品を見て「ちったぁ進歩したかね、この餓鬼も」と思って頂ければ幸いです。

…ぇ、退化?

マジっすか。